けんしんBANK

01

蓼科高原バラクライングリッシュガーデン × けんしんBANK

地域の魅力を引き出し
プロデュースしていく
プロジェクトの話

蓼科高原
バラクライングリッシュガーデン

光和創芸株式会社
代表取締役社長

山田 裕人 氏

光和創芸株式会社
デザイナー/英国園芸研究家

ケイ 山田 氏

光和創芸株式会社
管理部長

西本 晃史 氏

1990年、日本初の本格英国式庭園として創園。2020、2021年と2年連続して英国王立園芸協会より
「RHSパートナーガーデン」として世界の名園に認定される。
創園から31年目を迎え、地元ファンはもとより全国に名を広め、
四季折々の自然の姿が訪れる者の心を癒し感動を与えている。

けんしんBANK

執行役員(当時)

竹内 三明

ソリューションビジネス部

甘利 なつみ

茅野支店 支店長(当時)

徳武 宏治

茅野支店 次長(当時)

宮沢 和也

融資に頼らない
資金調達を
実現するプロジェクト

長野県蓼科に広がる広大な英国式庭園「蓼科高原バラクライングリッシュガーデン」。標高1,100メートルの高原に、約1万平方メートルの敷地を有し、園内には5,000種類を超える植物が植えられている。英国王立園芸協会から「RHSパートナーガーデン」として認定され、世界的にも高く評価された庭園である。プロデュースするのは、ガーデンデザイナーのケイ山田氏。30年以上も前にイングリッシュガーデンというスタイルを日本に持ち込み、本場英国で歴史と権威のある賞も獲得した国内における英国庭園の第一人者である。

そんなケイ山田氏が心を痛めていたのが、創園当時からある枕木を敷いた小路の経年劣化であった。車いすや脚の不自由な方にとって歩きにくい状態にあり、バリアフリー化のための改修工事を行いたいと考えていた。とは言え、容易に資金の調達ができるわけではない。そこで相談を持ち掛けたのが、けんしんBANKであった。対応したのは、茅野支店 支店長の徳武宏治(当時)と次長の宮沢和也(当時)である。

徳武

宮沢

けんしんBANKとして、地元の人気観光名所であるバラクライングリッシュガーデンさまの経営支援は、ぜひお手伝いしたい案件でした。国内はもちろん海外からも評価される庭園だけに、最大限の支援をお手伝いするにはどうすればいいか。そこで提案したのが、クラウドファンディングを使った資金調達です。

クラウドファンディングは、単なる資金調達の手法ではない。多くの支援者を募る上でプロジェクトの告知活動が行われ、バラクライングリッシュガーデン自体の宣伝効果が期待できる。まずは少額の目標を設定し、二次・三次の募集を順次行っていく計画が提案された。

顧客が持つ本来の価値を見出し、
多くの人に伝えていく

けんしんBANKのクラウドファンディングサイト『Show Boat』では、これまでにも地元企業の経営支援プロジェクトを実施してきた。大手時計メーカーのOEM生産を手掛ける地元企業に対して、精密加工技術を活かした自社オリジナルブランド時計の開発を支援したほか、高い技術力を持つ製造業界の地元企業に働きかけ、ステルススレッドキャップの筆ペン、釣りのルアーをそのまま外装としたボールペンの開発企画などを実現してきたのである。

こうした実績を基に、今回もクラウドファンディングの活用が提案されたが、一方で懸念材料もあったと言う。それは、製造業以外の分野における募集である点。

甘利

当初は庭園のバリアフリー化のようなプロジェクトの前例がなく、どれだけの支援金が集まるのかが全く未知数でした。クラウドファンディングでは、支援者へのリターンが非常に重要になりますが、製造業とは違って形あるモノをリターンできるわけではありません。そこで重視したのが、プロジェクトの背景にあるストーリーをしっかりと支援者に伝えることでした。

プロジェクトを後方から支援したのが、本プロジェクトにおける実務面を担当したソリューションビジネス部の甘利なつみである。『Show Boat』に掲載するプロジェクトの概要や映像などを専門スタッフの手で仕上げていき、歴史ある英国式庭園の持続的な運営にかける思いや価値を伝え、支援者からの共感を得られるようプロジェクト全体のプロデュースを手掛けていった。

ただし『Show Boat』の母体のクラウドファンディングサイトである「GREEN FUNDING」の支援者の多くが、プロダクト製品などに関心の高い中高年の男性である点が課題であった。庭園という文化に対する理解と共感が得られるのかは、全く予想できなかったと言う。だが、様々な情報を集めていくうちに執行役員(当時)の竹内三明は確かな手応えを感じていた。

竹内

バラクライングリッシュガーデンさまには、私たちの見込みをはるかに上回るだけの大きなポテンシャルがあることが分かりました。

竹内はソリューションビジネス部の責任者として、クラウドファンディングをはじめ、様々な形で顧客企業の経営支援を手掛けてきた実績を持つ人物である。バラクライングリッシュガーデンには、クラウドファンディングの成功につながる魅力が隠されていることを予感していた。

中でも特筆すべきが、ケイ山田氏のガーデンデザイナーとしての実績である。世界的に知られる人物であり、国内にも多くのファンがいるのだ。今は表面化していないがプロジェクトが立ち上がれば、多くのファンが支援に参加してくれるのではないか。バラクライングリッシュガーデン、そしてケイ山田氏が持つ魅力と本来の価値をどこまで引き出せるかが、プロジェクト成功のカギを握っていた。

固唾をのんで見守る中、
クラウドファンディングが
スタート

山田氏

最初は、せっかくプロジェクトを立ち上げていただいても、簡単には目標金額まで達しないと思っていました。私たちにとっては大切な庭園であっても、一般の方々にとってはいち観光名所にしかすぎません。何年もかけて少しずつ支援者を募って、できる部分からバリアフリー化していければいい。その程度に思っていました。

そう語るのは、バラクライングリッシュガーデンの経営母体で代表を務める山田裕人氏である。
たとえ今回のプロジェクトが未達成に終わったとしても、大きな広告効果は期待できる。バラクライングリッシュガーデンの存在を1人でも多くの人に認知してもらえれば、それだけでもチャレンジした価値があると考えていた。

その一方で、けんしんBANKでは全社を挙げてのプロジェクト支援が進んでいた。ソリューションビジネス部が中心となって、まずはメディア向けのプレスリリースを実施。さらには各営業店の窓口にプロジェクトのチラシを設置し、一般のお客さま向けの告知を強化していった。多くの人の目に触れるほど支援者の数も増えることが期待されるだけに、告知活動には特に力を入れていた。

組合内外の関係者のそれぞれの思惑や期待を背負いながら、2021年4月にクラウドファンディングはスタートした。固唾をのんで見守る中、プロジェクトは事前の予想を裏切る形で進捗していく。

開始から6日目、目標金額であった30万円を軽々とクリア。この時点で支援の成立が確定する。さらに9日目には2倍の目標額を達成。16日目には4倍の120万円に到達する。最終的に募集期間が終了した2ヶ月後には、392万1,117円にまで金額が伸び続け、達成率1307%という快挙を成し遂げることとなった。

地域の魅力をプロデュースし、
新たな価値を創造していく

山田氏

本当に驚きました。目標を達成できて、支援いただいた方には心より感謝申し上げます。またその一方で、私たちが手にしたのはお金だけではありませんでした。予想をはるかに超える多くの方々にバラクライングリッシュガーデンを必要としていただけていることを実感できたほか、これからもずっと残し続けて欲しいという声をいただけたことが何よりも大きな成果でした。こうしたみなさんの声こそが、私たちの一番の財産です。

融資による資金調達だけでは手にできなかった価値こそ、けんしんBANKが取引先に届けたかったものである。クラウドファンディングには地域を元気にし、新たな価値を生み出す力があることが見事に証明されたのだ。
執行役員(当時)の竹内は、今回のプロジェクトを次のように総括する。

竹内

バラクライングリッシュガーデンさまの事例は、私たちがどのようにしてお客さまのお役に立つべきか、そして地域に根づいた金融機関としてどんなことを期待され、その期待に応えるには何をしていくべきかがよく表れていると思います。地域の魅力をプロデュースして、新たな価値を創造していくこと。それこそが、けんしんBANKが実現したい思いです。

長野県内には、まだまだ隠れた魅力を持つ企業や資産が数多くある。そうした価値を注意深く見出し、光を当てていくことがけんしんBANKには可能である。それこそが、「地域の魅力をプロデュースし、地域社会の新たな価値創造に尽くします」というけんしんBANKのパーパス(存在意義)であると言えるだろう。

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