けんしんBANK

03

社会 × けんしんBANK

持続可能な企業の成長と
社会づくりを支えていく
プロジェクトの話

総合企画部
主任調査役(当時)

前沢 秀憲

総合企画部
副調査役

臼田 正和

総合企画部
副調査役

藤原 加奈

総合企画部
リスク管理・企画担当

藤澤 亮介

前触れもなくやってくる危機から
事業を守り抜く

企業が継続的に事業活動を行っていく上で、様々なリスクに備えることは不可欠であり、リスクマネジメントの手法の1つBCP(事業継続計画)は、近年大きな注目を集めている。BCPとは、企業が自然災害や大火災、テロ、サイバー攻撃などの緊急事態に直面した際、事業の存続を図るため、損害を最小限にとどめる具体的な方法・手法を取り決めておくことである。

BCPは様々なリスクから事業を守ると同時に、早期の復旧に向けた取り組みを円滑に行うことで、企業価値・事業価値の維持と向上を図っていくことができる。けんしんBANKにおいても、早期からBCP策定に取り組み、総合企画部が主導する形で策を講じてきた。そうした中、これまでに経験したことがない大規模な緊急事態が世界を襲う。新型コロナウイルス感染症との闘いである。

2020年前半、すでに都市部を中心に新型コロナウイルス感染症の感染が広がりつつあり、全国に緊急事態宣言が発出された。長野県内の感染状況は緩やかであったとは言え、いずれ県内にも感染が広がっていくことは明白であった。けんしんBANKでは、総合企画部が中心となって早期に対策本部が立ち上げられた。

最初に取り組んだのは、組合内の情報の取りまとめであった。検温などの健康観察を徹底し、職員の感染状況を各部店で把握。さらには県をまたぐ移動がある際には、行動履歴を全て記録し、万が一に備えた。
また、対策本部の立ち上げと時を同じくして、人事部でも時差出勤の導入、交替制勤務など、感染拡大防止への対応を徹底していった。密となる状況を可能な限り減らしながらも通常業務が行えるよう、ギリギリの対応を迫られる状況にあった。

前例のない事態に情報が錯綜し、現場は混乱状態にあったと言える。そこでけんしんBANKでは、独自に感染防止対策マニュアルを策定し、職員への周知徹底を図ることになった。後にこの対策マニュアルは、組合外にも大きく広まっていくことになる。

より多くの人に向けた
対策として
一般公開に踏み切る

前沢

まずは正しい情報の収集から始めました。感染予防の方法や取り組みを調べるほか、感染者が出た場合、どういった経路で報告するのか、またどこまでの範囲が濃厚接触者と判断されるのかなど、より具体的な内容を取りまとめることに意味があると考えていました。

こう当時の様子を振り返る前沢秀憲は、総合企画部に所属するリスク管理の責任者である。県の保健課に問い合わせたほか、同じ部署の臼田正和、藤原加奈、藤澤亮介らのメンバーと共に様々な形で情報収集を行い、わずか2日間という短時間で対策マニュアルを形にしてみせた。その内容で特筆すべきは、極めて分かりやすく、専門的な知識がない者が見ても何から取り組むべきか、どのように行動するべきかが詳細に記載されている点であった。

感染拡大の初期段階においては、政府や保健機関からのアナウンスも状況に応じて変わることがあり、正しい情報の把握が非常に難しかった。こうした難点をクリアにするためにも、徹底した分かりやすさの追求によって、実践に活かせる対策マニュアルとして完成させた。

このマニュアルは各営業店に向けて共有され、理事長からはBCPの重要性や事業者が抱える不安を緩和する観点から組合外に向けて公開するよう指示が出された。
マニュアル完成の翌日には、けんしんBANKのホームページに掲載し、PDF、Wordデータでダウンロード可能とした。飲食店や接客を伴う業種はもちろん、一般の企業における感染対策マニュアルとして活用できるよう、汎用性を高めた内容に更新した上で公開され、顧客企業に限らずあらゆる事業者、個人事業主、一般の方向けにマニュアルが提供されることになった。

予想を上回る反響と共に、
県外にも影響が広がっていく

ホームページでの公開と合わせて、対策マニュアルは渉外担当を通して多くの取引先企業に届けられた。また、営業店の窓口にも設置して、一般のお客さまにも無料で配布するなど、組合外に広く展開されていった。

総合企画部のメンバーとして本プロジェクトの実務面を担当した藤原は、次のようにプロジェクトを総括している。

藤原

目に見えないウイルスの感染に対して、対策の必要性を感じながらも、具体的にどのような行動を取ればいいのかが分からない企業やお客さまが多数いらっしゃいました。特に企業の場合、これまでに経験したことのない緊急事態の中にあって、継続して事業活動を行っていくためにも感染拡大防止に取り組むことは不可欠であり、私たちが提供した対策マニュアルが大いに役立ったのではないかと思います。

マニュアルの公開は、さらに担当メンバーたちの予想をはるかに上回る形で広まっていく。

藤澤

最初に県外からの問い合わせがあったのは、自動車関連団体からでした。私たちが公開しているマニュアルをぜひ使わせて欲しいというご依頼でした。当初は県内のお客さまの利用を想定していただけに驚きましたが、1人でも多くの方のお役に立てるならぜひご活用くださいとお伝えしました。

けんしんBANKの営業店にも次々と反響が寄せられ、中でも中小企業のお客さまからは日々の事業活動にすぐにでも取り入れられる内容であると高く評価されたという。

金融サービスの提供に
留まらない地域金融機関の使命

2020年8月に公開された新型コロナウイルス感染症対策マニュアルや、クラウドファンディングを活用した地域貢献プロジェクトの取り組みが評価され、サステナブルファイナンスの分野で目覚ましい活動を展開した金融機関・企業を表彰する『第6回サステナブルファイナンス大賞「地域金融賞」』を受賞した。けんしんBANKの顧客向けBCPは、日本国内において高く評価されることになった。

臼田

私たち地域金融機関は、企業として事業活動を行うと同時に、公共性の極めて高い存在であることを常に意識していく必要があります。金融サービスを通じて地元企業の経営を支えていくだけでなく、持続的に事業活動を行っていくための支援も担う存在と言えます。今回の感染症対策マニュアルは、その特徴的な取り組みの1つでありました。今後も様々な形で、顧客企業の支援策を企画・実践していきたいと思います。

地域の発展と共に歩んでいくのが、けんしんBANKの大きな方針である。それだけに、地域経済を襲うリスクに対する取り組みは、地域金融機関の使命と言えるだろう。これからも目まぐるしく変化していく社会経済の環境。その中には、目には見えない脅威やリスクも多く含まれている。そうした予想外の出来事から顧客を守り、地域経済の発展に貢献していくためにも、今後も様々な形で顧客企業の支援を手掛けていく方針である。

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