けんしんBANK

02

株式会社MES甲信 × けんしんBANK

長野から世界に進出していく
地元企業を支援する
プロジェクトの話

株式会社MES甲信

株式会社MES甲信 
代表取締役 社長

村山 徹 氏

長野県伊那市に拠点を持つ2010年設立の機械装置メーカー。
自動車、航空機、医薬品など、多種多様な製造現場に欠かせない各種機械(組立装置、加工装置、検査装置など)を設計・製造している。
取引先企業の海外進出に伴って、2020年にベトナム南部のドンナイ省に現地法人を設立。
早期の工場稼働を目指している。

けんしんBANK

シンガポール駐在員事務所
所長(当時)

松倉 健介

ソリューションビジネス部
チーフエキスパート

太田 信治

伊那支店
支店長(当時)

百瀬 直寿

伊那支店
渉外課長(当時)

築田 智晶

地元中小企業の行く手を阻む
海外進出への高い壁

ビジネスのグローバル化が加速する中、長野県内の企業においても海外に事業を広げたいというニーズはどんどん増えている。現地に行けば新しい仕事の引き合いがあるほか、新たな労働力の確保もできる。だが、いざ計画を実行しようとしても、専門的な知識や海外進出に関する経験・ノウハウが乏しい中小企業では、その一歩を踏み出せないのが現実である。こうした企業の課題に対する支援を行うことも、地域金融機関の役割の1つである。今回は、その一例を取り上げてみよう。

伊那市に拠点を置く装置メーカー「株式会社MES甲信」では、海外への事業拡大を見据えた計画が持ち上がっていた。しかし、構想はあるものの計画から2年が経過しても具体的な成果が得られず、いたずらに時間だけが過ぎていった。代表の村山氏は、当時の様子をこう振り返る。

村山氏

製造業界の拠点が人件費の安いASEAN諸国に広がっていく中、当社も海外に製造・組立拠点を持ちたいとずっと考えてきました。しかし我々にとっては、海外進出は全く未知の分野。過去に前例のない計画だけに、一体何から手をつけてよいのかが分からず、気が付けば2年もの時間が経っていました。

膠着状態にあった計画が動き出すきっかけを作ったのは、伊那支店 支店長(当時)の百瀬直寿と渉外課長(当時)の築田智晶であった。

お客さまの期待に応えるのが、
これからの地域金融機関の
在り方

百瀬

築田

地元企業の経営支援の一環として、けんしんBANKではお客さまの海外進出のサポートに力を入れています。その中心となっているのが、シンガポール駐在員事務所 所長(当時)の松倉と国際業務支援のプロフェッショナルであるチーフエキスパートの太田です。この2人の力を借りれば、必ずお客さまの期待にお応えできるという確信がありました。

2015年に新設されたシンガポール駐在員事務所は、けんしんBANKの海外拠点であり、ASEAN諸国と本部をつなぐ重要な役割を担っている。所長(当時)の松倉健介は、ASEAN各国における情報の収集、現地エージェントとのネットワークの構築など、重要な役割を担う国際業務支援のキーパーソンの1人である。

松倉

お金を預かったり、貸したりするだけが地域金融機関の役割ではありません。日本にいながら海外に事業を広げたいお客さまを支援するため、シンガポール駐在員事務所では手厚いサポート体制を用意しています。

海外の情報に精通した松倉に加えもう1人のキーパーソンとなったのが、チーフエキスパートの太田信治である。複数の海外進出支援プロジェクトに携わってきたプロフェッショナルであり、今回のプロジェクトでも重要な役割を担っていた。顧客課題のヒアリング、ソリューションビジネス部への情報提供などを担う伊那支店(当時)の百瀬と築田を加えた4人によって、プロジェクトは本格的に始動することとなった。

太田

まずは村山社長とベトナム工業団地代理店との間をつなぐことからプロジェクトはスタートしました。村山社長の希望に近い条件の工業団地を探し出し、現地法人の立ち上げに関する総合的なサポートを目的としてチームで対応に当たりました。

そして2020年2月、村山氏の現地視察アテンドとして、松倉と太田はベトナムへと向かった。

1つひとつの希望に応える
伴走型支援でビジネスを
成功に導く

2日間という限られた時間の中で、工業団地代理店の案内を受けながら3人は候補地を慌ただしく視察していった。工場を立ち上げる上で重要となるのが、交通・通信・水道・排水といったインフラ環境がしっかりと整っているかどうか。総合的に見てベトナムは環境面に優れており、海外製造拠点として十分な条件であると言えた。そしてもう1つ、今回の工場用地には絶対に欠かせない条件があった。

村山氏

精密な機械や装置を製造する上で、地盤がしっかりとした土地であることは欠かせない条件です。振動に弱い地盤であると精密加工はできませんから、地盤がしっかりとしている土地であるかどうかを重点的にチェックしていきました。

こうした村山氏の要望を事前に工業団地代理店に伝えた上で、ピックアップされた5つの候補地を視察する中で、最も条件に見合う用地が見つかった。ベトナム南部のドンナイ省は、日系企業からの投資がベトナム国内でも多い地域。工場進出に申し分のない候補地であった。

太田

ホーチミン市からのアクセスが良く、近隣には新たな国際空港の開港も予定されているなど、さらなる発展性が見込める点を村山社長に喜んでいただけました。

と太田が言うように、希望通りの候補地が見つかり、無事に視察を終えることができた。さらにその後も、現地で銀行口座を開設するため、ベトナムローカル銀行との折衝を手掛けたほか、会計事務所や建設会社との接点づくりを担うなど、多方面からの支援によってプロジェクトを進めていった。こうした業務には現地とのリレーションや法律知識などが必要となるため、中小企業では対応が非常に難しい。けんしんBANKが顧客企業のサポート役として対応に当たることで、円滑な稼働を目指していく。顧客のビジネスパートナーとなり共に歩んでいく姿勢こそが、地域金融機関としてけんしんBANKが目指す姿であり、信頼関係がさらに深まっていくのであった。

中小企業の未来への
一歩を支え続けていく

その後プロジェクトは新型コロナウイルスの影響により計画の後ろ倒しを迫られながらも、工場稼働に向けた準備が着々と進められていった。

太田

新型コロナウイルス感染症の影響は、全くの想定外でした。その一方で、日本にいながらリモートで現地の協力関係者と連絡を取り合い、必要な情報を収集するネットワークを構築できたことは、今後の国際業務支援事業にプラスとなりました。

株式会社MES甲信では、来るべき工場の操業に向けて人材面での準備も進んでいるという。ベトナムから2人の人材を呼び寄せて本社での研修を行い、日本で培ったモノづくりの精神とノウハウを海外に広めようとしている。

村山氏

ベトナムと日本をつなぐ人材として、大切に育てていきたい。

と村山氏が言うように、本格的な海外事業のスタートに向けた準備が進み、近い将来の稼働が心待ちにされている。

松倉

今回のような工場の新設や現地法人の立ち上げ以外にも、海外への販路の拡大など、様々な形でお客さまの海外進出のお手伝いができます。シンガポール駐在員事務所がASEAN各国とのネットワークハブ拠点となり、あらゆるニーズに応えられるようこれからも体制の強化を図っていく方針です。

また、海外とのネットワークの構築に留まらず、国や公的機関が実施する各種サポート・制度を利用した支援にも力を入れていると太田は言う。

太田

今回のMES甲信さまには、ものづくり補助金の申請を提案しました。当組合と提携するコンサルティング会社と協力して、無事に採択が決定し、海外進出に弾みがついたと思います。他にも、日本貿易振興機構(ジェトロ)や長野県中小企業振興センターは、地元企業の海外進出を後押ししてくれる存在です。私たちけんしんBANKだけではできないこともまだまだあるため、こうした支援・サポートの利用機会を今後も増やしていきたいですね。

製造業に限らず、中小企業がさらなる成長を図っていく上で、地域金融機関が果たすべき役割は今後も多様化していくのは間違いない。長野から世界の経済を動かしていく。そんな仕事が経験できるのも、けんしんBANKで働く魅力と言えるだろう。

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